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| 2006/01/28 最悪(-3 pnt) by 羽幌炭鉱 出版社の思想信条を(少年誌掲載である作品なのに)露骨なまでに反映させた結果、或る作家の実績を一時的に破壊してしまった忌まわしい印象しか残ってない作品。 この作品は、元・自衛隊出身で思想面においてやや偏った印象のある武論尊が原作を手がけ、作画は【タキシード銀】にてブレイク、というよりは安定した漫画家としての地位を手に入れたもののその後不振だった松浦聡彦がつとめていた。まあかなり有名すぎる問題の部分なのだが、読切版において日本がバブル崩壊と金利政策の失敗で完全に米国の属国と成り果てた中、それに対してのレジスタンス的な行動をする日本人達という、それだけでも危険信号を感じさせる代物で、しかもラストに主人公がゼロ戦でホワイトハウスにカミカゼアタック(要するに特攻隊というわけだ)というものがタイミング悪くアメリカの同時多発テロと重なってしまったという、悪い意味で強烈なものを感じさせてしまった。 別段、右だか左だかというのは個人様の思想なので統制する気もないし、他人様に迷惑をかけたり不快感を与えないでもしない限りは勝手にやってたら如何だと言う感じはするのだが、この作品の場合は元々出版社が右寄りの印象が強い小学館でしかもこの時期は「あたらしい歴史教科書を作る会」などの勢力の勢いがやたらと盛んで小学館も思想面で近い印象の所為か、少年誌であるサンデーにまでこういう右に寄り過ぎた作品を描かせることにゴーサインを出させたのではないのだろうかと思わせるのだが、残念ながら極端すぎてこの作品はあまり感心できるものではなかった。というよりも、ナショナリズムをこういうところで出されても残念ながら困るだけである。そういうモノを作品の隠し味として不快感を感じさせない程度に出すのならともかく、それをストレートに出されても読者は困るのではないんではないのか? また、この松浦聡彦の画風は武論尊の作品、しかもこういう凶悪な雰囲気の作品には合致する代物ではなかった。武論尊は職人的な原作者であり、自身の作風と作画担当の画風を両立させるくらいは朝飯前の腕前を持ち合わせているはずなのだが、この作品ではそれに対しての整合性なども失っている状態であり、やはり「思想」がやたらと絡みすぎると本来もっていた器用なところまでもが(本人の意識と関係なく)ぶち壊しになっていたのではないのか?そういう意味では武論尊にとっても、松浦聡彦によっても、いい仕事ではなく残念この上ない汚点となった印象がある。まあ、むしろコレで痛手を喰らったのは武論尊ではなく、低迷していたときに武論尊の原作を獲得して巻き返しを図ろうとした初裏聡彦の方であり、彼は読切以外ではサンデー本誌での仕事はない状態である。 出版社の思想信条というものを少年誌で露骨なまでに出しすぎた場違い的な作品であるが上に、しかもそれがナショナリズム万歳的なとんでもないレベルの代物(別にアメリカの属国であることを望むわけではないが)で、おまけにそれによって一時的に作家としての地位を破壊(後に小学館系列の雑誌にて見事に仕事しているみたいなので安心した)したという、はっきり言って論外な代物以外の何物でもないものだった。 評価は「最悪」以外に与えられるものはない。 |
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